Image:Credit: Northrop Grumman
2021年、ついにハッブル宇宙望遠鏡の後継機『ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡』のミッションがスタートします。
ハッブル宇宙望遠鏡に代表される「宇宙望遠鏡」の最大の役割は、地上のように大気や人工の光の影響を受けることなく、深宇宙観の条件としては最高の宇宙空間で機体の望遠性能を最大限発揮することです。
そして『ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡』の性能は、先代であるハッブル宇宙望遠鏡のそれを遥かにしのぎます。
今世界中が、『ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡』のこれまでの天文学の常識を覆す発見や、見たことも無い宇宙の姿を捉えることを心待ちにしているのです。
かくいう私も、いや、私が一番楽しみにしているかもしれません(*’▽’)‼
そこで今回は、次世代の宇宙望遠鏡『ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡』について紹介していこうと思います。
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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とは
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST : James Webb Space Telescope)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)がハッブル宇宙望遠鏡の後継機として開発を行っている、赤外線観測用宇宙望遠鏡です。
この宇宙望遠鏡の名前は、NASA二代目長官ジェイムズ・エドウィン・ウェッブにちなんだものです。
ハッブル宇宙望遠鏡が主に「可視光」を使っていたのに対して、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は「赤外線」を捉えることで天体観測を行います。
「可視光」に比べて波長が長い「赤外線」は、宇宙に散らばる塵も透過し遠方まで届くため、より遠い星の観測を行う上では、赤外線観測の方が有利なのです。
赤外線観測と言っても、サーモグラフィ映像のように熱い箇所ほど赤く、冷たい場所ほど青く、みたいな画像になるのではなく、可視光で見た時のと同じような見た目になるように画像処理されますので、これまでハッブル宇宙望遠鏡が撮影してきたような美しい画像がジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からも届けられる予定なので楽しみにしておきましょう。
参考までにスピッツァー赤外線宇宙望遠鏡が撮影した美しい星雲の画像を下に貼っておきますね(^^)
Credit : Lori Allen (Harvard-Smithsonian CfA) et al., JPL-Caltech, NASA(左)Credit : J. Hora, HSCfA, W. Latter, Herschel, and Caltech/NASA (右) スピッツァー宇宙望遠鏡が撮影した”創造の山脈”ことカシオペヤ座方向星形成領域W5(左)スピッツァー宇宙望遠鏡が撮影したみずがめ座螺旋状星雲NGC7293(右)
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の最大の特徴は、なんといっても口径 6.5 m にもなる巨大な主鏡です。
ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡の直径が 2.4 m だったことを考えると、いかにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡が大きいかがわかります。
そして主鏡表面には、赤外線をよく反射する金のメッキ加工が施されています。
この巨大な主鏡の面積を目いっぱい利用し、金メッキの表面で効率よく赤外線を反射させ赤外線センサーに集めることで、これまで観測することのできなかった微弱な赤外線も捉えることが可能になっているのです。
ただ、このままでは望遠鏡が大きすぎてロケットに搭載できないという問題が発生するのですが、主鏡を18枚のセグメントに分けて折りたためるように設計することで解決しています。
個人的に、この主鏡のハチの巣みたいなデザイン超かっこいいと思うんですけど皆さんはどうですか(*’▽’)?
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の工夫はこれだけではありません。
赤外線観測において、望遠鏡自身が放つ赤外線を最小限に抑えるために”機体の冷却”が何よりも重要になってきます。
そこで、ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡では機体を-220℃まで冷却しつつ、船底のように見える遮光板を取り付けることで、太陽や地球から放たれる光を遮断します。
さらに、ハッブル宇宙望遠鏡は地表から約600kmの地球周回軌道に位置していたのに対し、ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡は地表から150万km、それも太陽光を地球が遮るような位置を漂うように飛行させるという徹底的な熱対策を実施します。
また、地球から遠い位置を飛行することで、地球の塵の影響が少なくなり、より天体観測に向いた良好な環境を得られるというメリットもあります。
このように、人類の叡智の結晶ともいえる最新技術と工夫をこれでもかと盛り込んだのがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡なのです。
そりゃあ、先代のハッブル宇宙望遠鏡を遥かに上回るというのも当然、というものですね(*’ω’*)。
提供:NASA Webb Telescopeハッブル宇宙望遠鏡とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡のサイズ比較
提供:NASA Webb Telescope組み立て前の主鏡セグメント。一枚でも大きい。
望遠鏡の展開のイメージ動画
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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の最大の目的
人類の最新技術の粋を詰め込んだジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に課せられた最大の目的は、宇宙誕生の際のビッグバンから約2億年後以降に誕生した「ファーストスターの観測」です。
ファーストスターは、宇宙の膨張の影響で地球から130億光年以上先にあり、現在でも凄まじい速度で遠ざかっています。
そのため、ファーストスターから放たれた光は赤方偏移により波長が引き延ばされ赤外線に変化していると考えられています。
つまり、宇宙の遥か彼方から届くであろう微弱な赤外線を観測できるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、ファーストスターの観測におあつらえ向けというわけです。
もしジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がファーストスターの観測すれば、宇宙の遥か昔の姿を見ることができるということです。
この発見は、現在の宇宙や恒星の成り立ちの謎を解明するうえでこの上なく重要な情報となります。
いや~、謎多き原初の宇宙の姿が見れるかも、というのは物凄くロマンに溢れた話だと思いませんか(*´▽`*)⁉
私は是非とも見てみたいです!
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げ予定日は、2021年3月30日です。
ハッブル宇宙望遠鏡に替わる、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の大活躍を期待しておきましょう!
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まとめ
さてさて、今回はハッブル宇宙望遠鏡の後継機『ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡』について紹介して参りましたがいかがでしたか?
新時代の技術の粋を詰め込んだジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、新たな人類の目となり今まで見たこともない宇宙の姿を見せてくれる未来が楽しみで仕方ありません!
皆さんもジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の活躍に注目しておくことをオススメしますよ(*’▽’)
ではでは、次回の宇宙情報も乞うご期待!