あまり星に詳しくない人でも、木星なら「茶色っぽくてシマシマ模様があって…」なんてイメージが湧いてきやすいのではないでしょうか。
木星を題材としたホルストの名曲「Jupiter, the Bringer of Jollity (木星、快楽をもたらす者)」はあまりにも有名で、世界中で愛されています。
今回はそんなみんなの人気者、太陽系第五の惑星・木星について紹介していきます。
基本データ
- 和名:木星 英名:Jupiter(ジュピター) ラテン名:Jupiter(ユーピテル)
- 直径 142,984 km
- 質量 1.8986×1027 kg
- 平均密度 1.326 g/cm3
- 表面温度 -163 ~ ??
- 公転周期 11.86155 年
- 自転周期 9 時間 55.5 分
- 衛星の数 79
木星ってどんな星?
皆さん、夜空に浮かぶ木星を見たことはありますか?
木星は月、金星の次に明るく見える星で肉眼でばっちり見えます。
家庭用の望遠鏡でも縞模様や衛星を確認することができます。
この記事を書いている時点(2018/07/26)では南の夜空に明るく綺麗に見えています。
見てみたい方はネットで木星の位置を調べてみてください。
晴れの日であればすぐに見つかると思います。
木星をより身近に感じることができると思いますので是非見てみてくださいね(*’▽’)。
巨大ガス惑星
木星は太陽系で最大の惑星です。
直径は約14万kmで、なんと地球の10倍以上も大きい事になります。
ただし、密度は地球の4分の1程しかなく、見た目よりも軽い星なのです。
これは木星が大量のガスが集まってできた”巨大ガス惑星”だからです。
木星のようなガス惑星のことを木星型惑星とも呼んだりします。
これに対して水星、金星、地球、火星のような岩石惑星を地球型惑星と呼びます。
ガスでできているとは言っても木星の質量は圧倒的です。
地球を1とした場合、木星の重さは317.83であり木星以外の太陽系惑星すべてを足し合わせても木星の質量には及びません。
木星を構成するガスのほとんどは水素とヘリウムであり、これは太陽と非常によく似た構成で、もし木星の質量が今より70~80倍大きかったなら水素が核融合反応を起こし第二の太陽となっていたことでしょう。
無数の衛星
2018年現在、木星は79個もの衛星を持っていることがわかっています。
多数の衛星の中でもひと際大きな衛星が4つあり、これらはガリレオ惑星と呼ばれています。
ガリレオ惑星はイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイにより発見され、それぞれ イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト と命名されました。
ガリレオ惑星は双眼鏡でも容易に観察することができますよ(^^)
左から イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト
なぜ木星はこれほど多くの衛星を有しているのでしょうか?
その秘密は木星の大きな質量にあります。
星の重力は星自体の質量に伴い大きくなっていきます。
木星の重力はとても大きく、周囲には岩石や塵などが集まってできた”環”が形成され、これらが衝突して大きな塊となることでたくさんの衛星ができました。
また、近くを通った小惑星などを捕獲し衛星としたこともあったと考えられます。
このようにして木星は多くの衛星を持つに至ったわけですね。
同様の理由で土星も64個と数多くの衛星を有しています。
太陽系で現在確認されている衛星の数が197個ですから、木星と土星の衛星だけで太陽系の衛星の7割以上を占めていることになります。
衛星ゼロの水星と金星に、何個か分けてあげてもいいんじゃないですかね(;・∀・)
巨大嵐・大赤斑
木星の南半球には大赤斑と呼ばれる大嵐があります。
大赤斑は楕円形で赤茶色のとっても目立つ姿なので一目でそれだとわかります。
大赤斑が赤みを帯びているのは、嵐の中の物質が周囲と比較して高温に熱せられているからだと考えられています。
そして大赤斑の最大の特徴は、その大きさです。
なんと地球が2~3個すっぽりと収まってしまうほど巨大なのです。
気象現象としてはスケールが大きすぎてちょっと想像が追い付かないですね…(;・∀・)
木星表面に見られる大赤斑
大赤斑は1665年に、フランスの天文学者 ジョバンニ・ドメニコ・カッシーニ により発見され、少なくとも350年以上存在し続けています。
地球で発生する台風は、いくら寿命が長くとも2~3週間も経てば消滅してしまいます。
木星では、なぜこれほど大きな嵐が長期にわたり存在し続けるのでしょうか?
その理由としては、木星の猛烈な”自転速度”が挙げられます。
木星は地球の10倍以上の直径を持っていながら、時点周期が10時間足らずという驚異のスピードで自転しています。
地球の自転速度(赤道面)は約1,700 km/h なのに対し、木星は約47,000 km/h です。
なんと木星は地球の約28倍ものスピードで回転しているのです!
この猛烈な速さの自転により、大気の撹拌が促進され木星表面では絶え間なく巨大嵐が発生します。
そして発生した嵐は複数が合体することでより大きな嵐になることがわかっています。
大赤斑は長年の間、新たに発生した小さな嵐を食べ続けた結果、現在に至るまで350年以上も生きながらえてきたのです。
大赤斑といえば木星を象徴する最たるものですし、これからもいっぱい食べて長生きして欲しいものですね(*´▽`*)
木星の謎
木星はその大きくてミステリアスな姿から古今東西の人々を魅了してやみませんが、まだまだ探査のしがいがある謎多き惑星なのです。
その多くの謎の中でも面白そうな謎を紹介していきますね(*’▽’)
木星の生物像
多くの天文学者は「地球以外の星にも生物は存在し得る」と考えており、その生態や姿は星ごとの環境に適応するため地球上の生物とはかけ離れた姿をしているのではと推測されています。
では、木星に生物がいるとしたらどのような生態・姿をしているのでしょうか。
これを科学的、生物学的に考察したのがアメリカの天文学者 カール・エドワード・セーガン です。
セーガンは木星に生物がいた場合、地表が存在しないガス惑星であること、常に大気が高速で動いていること、大きな重力と大気圧などを考慮し”風船状のクラゲ”のような姿が最も理にかなった形態だと考えました。
また、このクラゲ状の生物を捕食するイトマキエイのような生物も存在し、地球のように食物連鎖が起きているのではと推測しました。
しかし、セーガンにより考えられていた木星の環境や生物は推論の域を出ておらず、あくまで想像上の産物にすぎません。
でもですよ?セーガンのように未知の惑星に思いを巡らせ、「あんな生物がいるのでは?」「こんな生物も…」なんて考えている時が天文学者にとって最もロマンにあふれ宇宙に魅力を感じる瞬間なのではないでしょうか。
私は、そんな彼らの想像を聞くだけでもワクワクしてしまいます(*´▽`*)
今後の探査によって木星の謎が明らかにされるまでは、生物の有無や姿などはわかりません。
なので将来の木星探査に期待しつつ、今は想像を膨らませて楽しみましょう(‘ω’)ノ
木星内部
木星の最も大きな謎が、その”内部構造”です。
木星表面付近は、水素を主成分としヘリウム、メタン、水、アンモニアなどで構成されていることがわかっています。
しかし、地表よりもさらに内部の成分や構造がどうなっているかは、はっきりとわかっていません。
そのため、天文学者たちの間で木星の内部について論争が絶えないそうです。
学者たちも悩ませる木星内部の謎ですが、現在最も有力ではないかとされている説を紹介しますね。
地表を通過すると大きな大気圧により圧縮された液体状の水素やヘリウムの海が広がっており、さらに深く潜ると金属水素の層に到達し最終的には半径一万メートル程度の氷や鉄、ケイ素で構成された岩石質の核にぶつかるのではと推測されています。
有力とされているこの説も現段階では推測にすぎませんが、2011年8月5日に打ち上げられたNASAの木星探査機ジュノーが木星内部の謎に迫るべく木星に向かっています。
この探査機ジュノーですが2016年7月に木星の周回探査を始めており、すでにいくつかの成果もあげています。
ジュノーによる木星探査は2021年7月まで行われる予定となっており、さらに多くの成果を上げることが期待されています。
いや~、しばらくはジュノーの活躍から目が離せませんね(◎_◎)
まとめ
今回は太陽系第5の惑星・木星に関して紹介して参りましたがいかがでしたか?
木星に関しては個人的にかなりお気に入りの星でして、もっと語りたいことがたくさんあるのですが本記事ではあえてコンパクトにまとめる形となりました。
木星関連の記事に関しては、今後もより詳細で密な情報をまとめて提供したいと考えておりますので楽しみにしておいて下さいね(*´▽`*)
ではでは、次回の宇宙情報を乞うご期待!