宇宙誕生の秘密 「インフレーション理論」と「ビッグバン」に迫る

宇宙誕生の秘密 「インフレーション理論」と「ビッグバン」に迫る





何事にも、はじまりの瞬間というものがあります。

私たちがこの世に生まれた時のように、あなたの両親にもはじまりの瞬間があり、そのまた両親も…

そして、この地球や太陽も例外ではなく、果ては宇宙に至るまで皆はじまりの瞬間を経て現在に至っています。

では、この世界そのものと言いってもよい”宇宙の誕生”とはどのようなものだったのでしょう?

誰も見たこと無いはずですからね、気になりますよね(*’▽’)

そこで今回は「宇宙の始まりの瞬間」について紹介していきたいと思います。

 

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宇宙ってどうやって生まれたの?

何事にも”きっかけ”というものがあります。

何かが起こるという「結果」の前にはきっかけとなる「原因」があるのです。

それでは宇宙が生まれた「原因」とは何なのでしょうか。

そもそも宇宙が生まれる前って何があったのでしょうね?

宇宙が生まれる前の世界から、宇宙誕生の”きっかけ”、そしてどのように現在のような宇宙が形作られたのか、順番に説明していきます。

 

無の世界

私たちの住む宇宙は、今から約137億年前に誕生したと言われています。

137億年前より以前、宇宙がまだ誕生していない時代には、何者も存在しない「」の世界が広がっていたと考えられています。

「無」の状態では時間も空間もなく、宇宙誕生以前より過去には遡れないことになります。

しかし、真に何も存在していない世界であれば宇宙が誕生するためのきっかけも無かったことになってしまいます。

実は、本当に「無」だったわけではなく超高密度のエネルギーがある一点に集中していた状態であったと考えられています。

この極限エネルギー状態の一点においては、正のエネルギーを持つ”粒子”と負のエネルギーを持つ”反粒子”が発生・対消滅を繰り返していました。

粒子-反粒子の発生・対消滅のサイクルは極低確率で偏りが生じ、エネルギーの総和がゼロではなくなります。

このエネルギーの変化を「量子ゆらぎ」といい、宇宙誕生の「原因」となります。

 

このあたりの説明、難しいですよね(*_*;

ごく小さなミクロの世界では、中高生が学校で習うような巨視的な物理学(ニュートン力学等)の法則は通用せず、確率によって物体の挙動が決まる”量子力学”の法則に支配されています。

要するに、この世の物理法則は突き詰めると人間では理解の及ばない”神のみぞ知る領域”ということです。

学者ほど神の存在を強く信じるようになるという所以ですね。

「量子ゆらぎ」もドイツの物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルグが提唱した「不確定性原理」によって説明がつくそうですが専門家でもない限りちょっと想像しにくいと思います。

量子力学は、神の領域である物理法則の本質を理解しようとする非常に興味深い学問です。

興味のある方は理系の大学に通って量子力学の単位を取るか、「12歳の少年が書いた 量子力学の教科書」を読んでみて下さい。

個人的には大学などで本格的に勉強する前に「12歳の少年が書いた 量子力学の教科書」を読んで「量子力学って面白い!」って感覚を持っておくとよいと思います(*’▽’)

試験のための勉強となると途端にその学問に興味が無くなっちゃうんですよね~(*_*;

今思えば量子力学に限った話ではありませんが、「テストいい点取らなきゃ」という一心で勉強をして、その学問を嫌いになるという非常にもったいないことをしていたな、と筆者は後悔しています。

このブログを読んで下さっている方(特に学生)には、是非とも”興味を持って”そして”楽しんで”勉強に勤しんで欲しいものですなぁ(*´Д`)。

ハッ!話がわき道にそれ過ぎました!独り言失礼いたしました!

 

宇宙の誕生から急成長

「量子ゆらぎ」により、無の世界におけるある一点で正と負のエネルギーバランスが崩れると一体どうなるのでしょうか?

なんと「量子ゆらぎ」が起こったその一点から時空や物質がものすごい勢いで発生し、宇宙が誕生します

…ちょっと話しが飛びすぎましたね。

順を追って説明することにします(=゚ω゚)ノ。

 

まず、「量子ゆらぎ」を起こした所に、10-34 cm という超ミニミニサイズの宇宙が誕生します。

なんとこの超ミニミニサイズ宇宙、原子核を構成する陽子や中性子(約1.2 × 10-13 cm)よりも遥かに小さいんです。

しかもこの極小ボディに現在の全宇宙を構成する質量が詰まっていたんです。

もうね、高密度とか一言で表せるレベルではないです。ハイパーギッチギチ状態です。

 

そして、宇宙誕生の瞬間から10-36秒後にインフレーションという宇宙の急膨張現象が起き、これは10-34秒後まで続きます。

この極々短い時間で、10-34 cm だった宇宙が 1 cm まで急成長しました!

驚くべきことにインフレーションによる宇宙の膨張速度は光速を遥かに超えていたのです。

インフレーションが終わった後も、宇宙の成長はまだまだ続きます。

 

インフレーションによる宇宙膨張の過程で、宇宙のエネルギー密度が急激に下がり「エネルギーの高い真空(偽の真空)」から「エネルギーの低い真空(真の真空)」への相転移が起こります。

この相転移の際に「ビッグバン」と呼ばれる膨大なエネルギーの解放現象が発生しました。

ビッグバンにより100兆~1000兆℃の火の玉となった宇宙はさらに膨張を続け、1万分の1秒後には 1 兆℃、3分後には10億℃まで温度が下がります。

10億℃まで温度がさがってくるとバラバラで存在していた陽子と中性子が結合して原子核を形成するようになります。

さらに、宇宙誕生から38万年経ったころには宇宙の温度は3000℃まで下がり、原子核と電子が結合できるようになり原子が誕生します。

 

 

そして現在に至るまで

宇宙空間で発生した原子は引力を持つため互いに引き付け合い、やがて恒星を形作ます。

恒星では核融合が起きるため、一番軽い原子である水素の他に、ヘリウム、炭素、ネオン、酸素、ケイ素、鉄が作られます。

そして恒星の死・超新星爆発により発生する膨大な熱と圧力により、鉄よりも重い原子も次々と生まれました。

こうして様々な物資や天体が無数に誕生し、現在の宇宙の形を形作っていったのです。

ビッグバンによる宇宙の膨張は未だに続いていることが、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた銀河や超新星の赤方偏移からわかっています。


宇宙の誕生から現在に至るまでの宇宙の膨張や星の分布を現している。
ここまで紹介した、無の世界における「量子ゆらぎ」をきっかけとした「インフレーション」からの「ビッグバン」による宇宙誕生のモデルを「インフレーション理論」と呼び、現在では宇宙誕生の謎を解き明かすための最も有力な説と考えられています。

 

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インフレーション理論を裏付ける手がかり

宇宙誕生の謎を解くための重要なカギとして登場した「インフレーション理論」ですが、SF作家が頭の中で作り上げた壮大なフィクションというわけではありません。

「インフレーション理論」は、1981年に日本の宇宙物理学者・佐藤勝彦やアラン・グースにより提唱され、有識者らによる多くの支持を得ている立派な学説です。

それでは「インフレーション理論」が提唱されるきっかけとなった手がかりをいくつか紹介していきます。

 

平坦性問題の解決

膨張している宇宙は、物質やエネルギーが持つ重力により膨張速度が徐々に減速すると考えられています。

仮に、質量が十分に存在し宇宙の膨張を止め、さらには収縮させ”ビッグクランチ”と呼ばれる特異点へと向かわせるほどの時空の歪み、つまりは時空が正の曲率を持つ宇宙を「閉じた宇宙」と呼びます。

逆に質量が少なく、宇宙の膨張が止まることなく永遠に続く場合、時空が負の曲率を持つ「開いた宇宙」と呼びます。

さらにもう一種類、「閉じた宇宙」と「開いた宇宙」の中間の性質を持ち、宇宙の膨張速度が0に近似するような丁度よい質量を持つ「平坦な宇宙」があります。

閉じた宇宙では、現在のような宇宙が形成されるような間もなくあっという間にビッグクランチに達してしまうことがわかっています。

開いた宇宙では、ビッグクランチは起きませんが銀河などの天体が生まれることができないほど物質密度が薄い宇宙になってしまいます。

したがって、我々の住む宇宙は限りなく時空の曲率が0に近い「平坦な宇宙」に分類されると考えられています。

ただし、平坦な宇宙が形成されるためには、初期宇宙の密度が最適な値から約1,000,000,000,000,000(千兆)分の1のズレも許されないという超超超超超絶シビアな条件をクリアする必要があり、我々が住むような宇宙ができることは非常に不自然だと考えられていました。

これを「平坦性問題 (Flatness problem)」と呼び、インフレーション理論の前身であるビッグバン理論ではこの問題を解決することができませんでした。

しかし、インフレーション理論におけるビッグバンより前に起こるというインフレーション (初期宇宙の指数関数的な膨張) が起きていたとすれば、仮に初期宇宙の時空がどんな曲率を持っていても急激に引き延ばされ平坦化ため平坦化問題は解決されることとなります。

 

地平線問題の解決

宇宙は様々な電磁波が飛び交っており、その中でもマイクロ波を「宇宙マイクロ波背景放射 (CMB : Cosmic Microwave Background)」と呼びます。

宇宙マイクロ波背景放射により、”宇宙の地平線”の温度がわかります。

”宇宙の地平線”とは地球から見て約137億光年の場所に位置し、宇宙が生まれて間もない頃の光や電磁波がここから届きます。

宇宙の地平線の端から端までは 137億光年×2 で 274億光年の距離があるはずです。

「物質は光速以上で動かない」という前提のもとで考えると、宇宙の年齢が137億年なので宇宙の地平線上の端っこ同士は全く触れあったことが無いはずです。

全く関係を持ったことのない二つの領域には物理的な相関は無いと考えられます。

しかし、宇宙マイクロ波背景放射からわかった宇宙の地平線の温度は全領域で 2.73 K であり一様でした。

この、相互作用が過去になかったはずの領域同士で物理状態が酷似しているという矛盾を「地平線問題」と呼び、平坦性問題と同様にビッグバン理論では説明できませんでした。

ただし、インフレーション期に起こったと考えられている光速以上の速度での宇宙膨張を考慮すると、宇宙の地平線上の領域は過去に相互作用していても矛盾はないため地平線問題は解決されることになります。


ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機により観測された宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ。ただし、温度ゆらぎと言っても10万分の1℃程度の極めて小さなムラである。この温度のムラが宇宙における物質の分布に偏りをもたらし、それに準ずるように銀河や銀河団の分布にもムラが出たと考えられている。

 

まとめ

さてさて、今回は宇宙誕生の謎や「インフレーション理論」「ビッグバン」などについて紹介して参りましたがいかがでしたでしょうか?

ここまで紹介してきたのに何ですが、今回登場した宇宙誕生のシナリオや理論は現段階では仮説の域を出ていません。

(有象無象のトンデモ理論よりははるかに説得力はあると思いますよ!)

人類はいつ”この世のはじまり”の真実にたどり着けるのか見当もつきません…(;^ω^)

私が生きている内はまず無理だろうなぁ。

もしかしたら永遠に解決できないかもしれません。

まあでも、わからないならわからないなりに次々に出てくる新説に耳をかたむけて想像を膨らませるのも楽しいものです。

いつも真実がドラマティックでエキサイティングなものとは限りませんからね。

つまらない真実を知って宇宙に対する情熱が冷めてしまうはごめんです( ;∀;)

でもでも!やっぱり人間の好奇心は止められないのです!

この葛藤こそ私の人生、ひいては宇宙のロマンに通づると思うのです(*’▽’)

このブログを読んで下さった皆様の中にも共感して頂ける方がおられたら幸いです(*´▽`*)

 

ではでは、次回の宇宙情報も乞うご期待!

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